招へい経緯書の作成

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短期滞在査証(親族・知人訪問)


 このページにおいては、海外に在住している親戚や知人などの方々を、日本に短期滞在の為に招きたいときに作成する書類について、ポイントとなる点をご紹介いたします。
 短期滞在査証(短期滞在ビザ)を申請する際に最も重要となり、また、最も悩みの種となる、「招へい経緯書」の書き方を中心にご説明いたします。ご参考になれば幸いです。


 尚、短期ビザ申請のために必要となる書類に関しましては、外務省のホームページより確認でき、また、申請書類もダウンロードできますので、申請前には必ず最新の情報をご確認ください。外務省ホームページ


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招へい経緯書の作成例

 
 短期ビザの申請書類の中に、「招へい理由書」があります。そして、その中の項目に「(2)招へい経緯」があります。しかし、記入欄がここには3行しかありませんので(通常3行では、招へいに至った経緯をとてもではないが説明しきれません。)、以下の記載例のように記載して、別紙を作成しましょう。

【記載例】




 上記のように記入したら、別紙を作成しましょう。以下に、「招へい経緯」記載例をご紹介します。何となくどのように書くと良いのかのイメージを掴んで頂けたらと思います。記載例は、婚約者の彼女を日本に招へいするときの経緯書です。(※個人情報の関係から、すべて架空ですので、参考程度にしてください。)

【記載例】

                                    2017年2月1日

在××××日本国総領事 殿

                     招へい人 ○○ □□
                     住  所 愛知県一宮市本町△ー△
                          ○○ハイツ111号
                          電話番号 ○○○○-○○-○○○○

               招へい経緯書

 私は○○□□と申します。この度、短期滞在査証申請人である△△○○を日本に招へいするにつき、以下に招へいに至った経緯をご説明させていただきたく存じます。

 私と△△○○との初めての出会いは、2015年○○月に私が観光で訪れた××××でした。ちょうど彼女も観光で××××に訪れており、私が彼女に、滞在先のホテルのロビーで声をかけたのがキッカケとなりました。彼女は、日本への留学経験等はありませんでしたが、日本語が理解できたので、すぐに打ち解けることができ、××××滞在中の内の2日間ほどですが一緒に観光地(△△や○○博物館、×××大広場など)を回ったりしました。
 観光を終え、日本に帰国したあとも、私と△△○○は、電話やメールで連絡を頻繁に取り合いました。電話やメールだけでの交流でしたが、彼女の人柄ややさしさに触れることができ、私は次第に彼女に好意を感じるようになりました。そして、2016年△月、彼女をもっとよく知りたいと思い、彼女の祖国である○○○へ渡航しました。
 私にとって○○○は初めての旅行でしたが、滞在期間中は彼女が常にエスコートしてくれましたので、とても楽しく充実して過ごすことができ、また、思っていた通りの彼女の思いやりややさしさに触れることができ、益々彼女の事を好きになることが出来ました。また、私はこの旅行の時に、彼女に交際を申し込みました。彼女も笑顔で快諾してくれました。
 帰国後は、私と△△○○は、これまで以上に電話やメールで連絡をとり、交際を続けていきました。そして、2016年○○月に、彼女と彼女のご両親に会うために、私にとって2度目となる××××渡航を行いました。私は、彼女とのこれまでの交際で、彼女と結婚したいという想いが募っていましたので、この2度目の渡航の際に彼女のご両親にその意思を伝えました。ご両親は快諾してくれ、「おめでとう。精一杯サポートするから幸せに。」と言ってくれました。
 しかし、彼女は日本語を理解できますが、まだ一度も日本を訪れた経験がなく、私と結婚し日本で生活することになった場合、日本の生活に馴染めるだろうかと心配しています。

 そこで、今回彼女に日本に来てもらい、私の両親や兄弟への挨拶も兼ねて、実際に日本の生活や文化、雰囲気を実感してもらい、私との結婚後、どちらの国で生活するのかを二人で話し合って決めたいと考えています。彼女の日本滞在中は、より深く日本での生活を知ってもらうために、私の実家に泊まり、地域の清掃やイベント(○月にちょうど町内の夏祭りがあります。)等に参加してもらおうと考えています。
 また、申請人を査証期限内に帰国させることは、招へい人である私が責任を持って行います。
 上記のような次第であり、短期滞在査証申請人である△△○○に短期滞在査証(30日)をいただけますようお願い申し上げます。



招へい経緯書作成のポイント

 

 上記の作成例で、招へい経緯をどのように書いたらいいのかのイメージは掴めましたでしょうか?
 それでは、作成のポイントを以下にご説明します。ご参考になれば幸いです。

 入国目的、招へい経緯は、絶対に嘘はつかない。
  当然の事ですが、嘘はいけません。入国管理局は、短期査証を持って日本に入っ
 てくる外国人を、「本当に婚約しているのか?」、「働くんじゃないか?」、「失
 踪して不法滞在するのでは?」な どなどと疑っています(そういうお仕事ですの
 でご寛容ください。)。 従って、虚偽の入国目的は絶対にやめましょう。よくや
 りがちな例として、婚姻手続きの為に日本に入国したいにも関わらず、安易に観光
 ・知人訪問目的と申告し、婚姻手続きに関して一切触れずに入国する方が見受けら
 れます。このような場合、後々の在留資格認定証明申請の際に、「過去の短期査証
 での入国目的に虚偽の疑いがある。」と取られてしまい、審査上たいへんマイナス
 となります。
  したがって、短期査証の入国目的は、招へいに至った目的・経緯を事実とおりに
 誠実に記載しましょう。A4で1~2枚程度で簡潔にまとめます。あまり長くても意味
 はありません。

 ②エピソード
を盛り込む。
   婚約者の招へいにしろ、友人の招へいにしろ、婚約するに至った経緯、友人とな
 った経緯を記載しますが、その過程で行ったエピソード等を盛り込むと良いでしょ
 う。知り合った場所や時期、一緒に訪れた場所や思い出、離れている期間の交流方
 法等、当事者同士のオンリーワンなエピソードが良いと思います。エピソードがな
 い、つまり、「インターネやSNSで知り合って一度も会った事が無い友人」や「友
 人の友人」等は、なかなか許可が出にくく、証拠資料の収集作成にひと苦労するいいでしょう。


 ③「報酬の有無」、「活動内容の信ぴょう性」、「滞在予定期間」に留意する。
  短期滞在査証の審査は、在外日本大使館(外務省)が中心となって行います。そ
 して、短期ビザが発給され、日本に渡航し、日本に上陸する際に、入国管理局によ
 る上陸審査が行われます。二重のチェックです。そして、入国管理局は、短期ビザ
 でもって来日する外国人の方を上記三点に着目して審査しています(入国・在留資
 格審査要領(入国管理局が、許可不許可の判断をする際の指針となるようなガイド
 ライン)。

  
  したがって、招へい経緯を書く際には、上記三点に留意して記載すべきです。
 「報酬の有無」に関しては、短期ビザでは働くことはできませんので、就労を想起
 させるような記載は避けましょう。
 
 「活動内容の信ぴょう性」に関しては、様々なものが判断材料となり得ます。「招
 へい理由が真実なのか?」を判断するために、入国管理局は、招へい人との関係、
 訪問先、日本にいる関係者、職業、所持金、所持品、宿泊先、過去の出入国歴、等
 々とあらゆる角度から総合的に審査しています。アメリカなどでは、Facebookの書
 き込みもチェックするそうです。観光目的と申告しながら、商売道具をごっそり持
 ち込みしていたら、「働くんじゃないのか?」と疑われる可能性大です。したがっ
 て、「活動内容の信ぴょう性」に疑問符が付きそうな事柄は、あらかじめ招へい経
 緯書にて説明しておいた方が無難でしょう。
 
 「滞在予定期間」に関しては、「あなたの来日目的を達成するために、その滞在期
 間は適切ですか?」という事ですので、今いち度、目的達成とそのために必要な滞
 在期間を確認しましょう。なるべく90日を貰いたいところですが、来日目的と9
 0日の合理性は必ず考慮されます。


 
申請人の帰国に責任を持つ。
  短期ビザはその性質上帰国が前提ですので、申請人の帰国に関して招へい人及び
 身元保証人が責任を持つ旨を明記すると良いでしょう。また、日本滞在中に招へい
 人が仕事等で申請人の世話(管理)ができない場合は、その期間に申請人の世話を
 できる人やその期間の申請人との連絡体制などを決めておいて申告しておく方
 が良いです。



滞在予定表の記載例及び注意点




 上記滞在予定表の記載例は、外務省ホームページ(ロシア人招へい向け。)に掲載されているものをそのまま転載していますが、上記記載例を参考にご自身の予定を埋めていけば問題ありません。
 
 しかし、ここで注意しなければならないのは、90日なら90日、30日なら30日の全ての滞在予定を埋めるという事です。特に予定がないからと言って、2~3日空白の期間があると、「その期間は何かやらかすつもりか?」と疑われかねません。空白の期間を作らずに何かしらの予定を組み込みましょう。
 
 もう一点注意点を挙げるとすれば、当然の事ですが、連絡先、電話番号、住所、滞在予定地名称、宿泊先名称、搭乗予定便などは、正確に、間違えのないように記載しましょう。略称を使用したり、あいまいな記憶を頼りに記載しないようご留意していただけたらと思います。




身元保証人について(年収、範囲など)


 まずは、身元保証の役割を知りましょう。その役割や責任を知ることで、見えてくることもあります。



 短期滞在査証申請書類の一つである身元保証書には、以下のようにかいてあります。



 外務省ホームページの「よくある質問」には、短期ビザにかかる身元保証人について「(省略)・・・民法上の保証人のように法的責任を伴うわけではなく、道義的責任に留まりますが、保証事項(滞在費、帰国旅費、法令の遵守)が履行されないと認められる場合には、それ以降のビザ申請において身元保証人となった場合に信頼を失う事になるのは当然です。・・・(省略)」と明記されています。つまり、借金の連帯保証人のようなものではないということです。
 
 ただし、上記三つの保証事項の「法令の遵守」が履行されず、その事が不法滞在やその他の犯罪などに関係してくると、別途刑事責任を問われる場合もあるので注意が必要です。

 また、身元保証人の年収や預貯金などが関心事となることもありますが、それほどの年収や預貯金が求められているわけではありません。身元保証人(たいていは招へい人)は上記三つを保証できればいいわけです。日本滞在中の滞在費、帰国旅費が確保されていればよいのです。滞在費、帰国旅費もたいした金額ではないかと思います(ただし、自分ひとりでさえの生活費も工面できないほどの低収入、預貯金ゼロのような場合には、もう一人身元保証人を付けた方が無難でしょう。)。

 そして、外国人の方で身元保証人になれる人ですが、ちゃんと範囲が決まっています。適法に日本在留しているたいていの外国人の方は身元保証人になれますが、下記の方は身元保証人になれませんので注意が必要です。

  • 短期ビザで日本に在留中の外国人
  • 3年以上の在留期間の許可がない外国人(例外あり)
  • 被扶養者の外国人(家族滞在や日本人の配偶者で専業主婦、留学生など)
  • 技能実習生
 そして、稀にですが、申請人と身元保証人が一度も会った事がなかったり、関係が薄かったり(薄いと思える)ですと、「身元保証するに至った経緯書」を追加で要求される事があります。特に書き方はありませんので、身元保証するに至った経緯と理由を率直簡潔にA4で1枚くらいにまとめれば良いと思います。別ページで記載例を紹介しておりますので、ご参考にして頂けると幸いです。
「身元保証するに至った経緯書」記載例




短期査証の更新(延長)


 短期ビザで日本に入国し、何らかの事情で入国目的が未消化となってしまい、滞在期間を延長したい、ということがあると思います。しかし、皆様ご承知のとおり、短期ビザは帰国が前提のビザですので、その更新(延長)には当然制限があります。


 短期ビザ更新の申請先は最寄りの地方入国管理局となりますが、実際、入管は短期ビザの更新には慎重で、「人道上の真にやむを得ない事情又はこれに相当する特別な事情があること」が判断基準のようです。

 この判断基準からすると、「更新するのほぼ不可能か?」と思いたくなりますが、実際上はある程度柔軟に解釈してもらえるようで、入国後に何らかの不慮のトラブル・アクシデントがあり入国目的を達成できなかった場合は、更新申請をトライしてみる価値はあると思います。

 短期ビザの更新が許可された有名な事例ですが、

  • 体調不良による来日目的の未消化
  • 交通事故の後処理
  • 実母による娘の出産直後の世話
  • 出産後の育児の補助
  • 風力発電所の修理
などが挙げられます。

 事例を見るとお分かりかと思いますが、人道上の配慮、不慮のアクシデントが考慮されていると思います。短期ビザの更新には、その合理的な理由が不可欠となります。そして、その理由を記載した理由書及びその理由を裏付ける証拠書類が最も重要となります。

 それでは、短期ビザの更新理由書には何を書けばよいのでしょうか?以下を参考にして更新理由書を作成してみてください。もちろん、申請人の状況に応じて理由は様々ですので、参考程度にしてください。


                                   2017年○月○日
名古屋入国管理局長 殿

                        住所:
                        氏名:×× ○○
                        電話:

           在留期間更新許可申請の理由書

私は、この度の在留期間更新許可申請の申請人△△□□の娘である△△○○の夫です。


申請人の日本入国後から更新申請までの活動の詳細

更新が必要になった詳細

③なぜ更新が必要なのか?更新する以外に方法はないのか?

④一旦本国に戻って、もう一度日本に来るのではダメなのか?

⑤延長した場合の申請人の滞在費および行動予定について

⑥延長後の申請人の帰国の保証について

⑦その他特記事項

 以上の次第ですので、貴局におかれましては諸事情ご理解の上、何卒、本件申請人に在留期間の更新のご許可を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 短期ビザの在留期間更新の注意点ですが、短期査証によって1年のうち180日を超えて日本に滞在しようとすると短期ビザ更新の判断基準である「人道上の真にやむを得ない事情又はこれに相当する特別な事情があること」がより厳しく審査されます従って、予定滞在期間が180日を超える場合は余程の事情が必要となりますので、許可は難しくなっていきます。また、原則、入国時に30日が付与されたなら、更新も30日の付与となります。入国時に30日で、更新で90日の許可ということは例外中の例外です。
 
 いずれにしても、短期査証で1年のうち180日を超えて滞在しようとすることは、「それって短期滞在なの?」という疑義が生じてしまいますので、許可は難しく、その他の中長期滞在のビザを検討する方向となるでしょう。


 また、更新申請の場合には、元となる短期査証で必要となった招へい理由書なども調査されえますので、短期査証申請の際の理由と更新申請の際の理由やその他条件などとの整合性には留意していただきたく思います。






短期滞在査証で来日して、日本で先に婚姻手続きを行う場合


 外国にお住いの婚約者を短期査証で招へいして、日本において結婚手続きを先に済ませたいというニーズがあると思います。外国(フィリピンやベトナムなど)での婚姻手続きは、日本のそれよりも複雑で時間もかかることが多く、日本人側が仕事の関係などでお相手の国に長期滞在できないといった理由によると思います。



 お相手の外国人の方が短期ビザ免除の国であればよいですが、短期ビザを取得する必要のある国や地域(フィリピン、ベトナム、中国、ロシアなど)ですと、いくつか乗り越えるべき問題があります。

 なぜかと言えば、日本では婚姻手続きを理由とした短期滞在査証での入国はあまり歓迎されていないからです。結婚ビザが欲しいだけの偽装結婚やそれに関係する人身売買が少なからず存在するからです。こういった事情がありますので、外務省も入国管理局も疑り深くなってしまうようです。さらに、日本の入国管理局だけではなく、外国のイミグレーションでも同様の理由から、自国民を空港で出国させなかったりすることもあります。

 したがって、婚姻手続きの為に日本に訪れる場合は、その辺りの事情に留意して申請することになります。各国のイミグレーション関係者の疑念を払しょくできるように申請書類を準備していきます。

 基本的には、上述の「招へい経緯書作成のポイント」をベースに招へい経緯書やその他の証拠書類を作成、収集していきますが、日本において先に婚姻手続きを行う事及びその理由を必ず明記しましょう。これを怠ると虚偽の入国目的と取られかねませんので注意が必要です。もちろん、滞在予定表にも、両親との顔合わせや市役所での婚姻手続き、大使館での婚姻報告などの予定もしっかり盛り込みます。
 当然ですが、単なる観光、知人・親族訪問の時よりも、お互いの関係を立証する資料(写真やメール、結婚式場の予約、お互いの家族との写真等)を厚く提出した方がよいです。
 
 また、婚姻手続き後、在留資格変更申請を行って引き続き日本に在留したいというニーズもあると思います。今後の結婚生活を日本で送る予定であれば、高額な帰国旅費を節約したいと思うのは当然です。しかし、短期ビザを取得して入国した場合は、帰国が前提ですので、婚姻手続き終了後は帰国する方が無難だと思います。もしくは、帰国予定としておいて、在留資格認定証明書申請を行い、その結果を日本で短期在留期限ギリギリまで日本人の配偶者と一緒に待つ、とした方が良いと思います。(尚、短期査証免除の国の方は、状況にもよりますが、日本での婚姻手続き後に直で在留資格変更申請もありです。)

 婚姻手続き後の変更申請にしろ、認定証明書交付申請にしても、準備や手続きに時間が必要です。特に、母国に帰らずそのまま日本に在留する予定であれば90日の在留期間が欲しいところです。ただし、90日もらえるかは、または、許可がでるかは難しいところですので、短期ビザ、変更申請含めて事前の入念な準備が必要となるでしょう。

 いずれにしても、各国のイミグレーション関係者に「私は不法滞在はしない、不法就労やその他の犯罪は絶対にしません」という事を立証し、納得してもらえるかがポイントとなりますので、実際難しい面はあります。
 ですので、一度申請してみてダメな場合は、何とか日程を調整して日本人側が相手の国を訪れた方が、結局早かったということもあるでしょう。