家族滞在ビザのための理由書

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家族滞在ビザのための理由書



 現在、日本に技術・人文知識・国際業務や留学のビザで在留中の方の家族が取得できる在留資格「家族滞在」。その申請の際に、提出必須書類ではありませんが、提出すると良いと考えられる「家族滞在理由書」(理由書というよりも、扶養計画書といった方が良いかもしれません。)。
 ここでは、家族滞在ビザのための理由書の作成ポイント及び記載例を示します。ご参考になれば幸いです。

 
 それでは、まずは記載例です。以下は、留学生(大学生)が母国の配偶者を日本に呼び寄せる場合の例です。ご参考にして頂ければ幸いです。
 
【記載例】


                                 令和○年○月△日

法務大臣 殿

氏  名
住  所
電話番号

              
家 族 滞 在 理 由 書

                    
 私は、○○○○国籍の○○○○ △△ と申します。現在、在留資格「留学(4年)」で滞在しております。この度の申請人である私の妻の○○ □□と日本において一緒に生活したいと強く希望致します。御庁におかれましては、ご審議の程、何卒、よろしくお願い申し上げます。

 私の現在の生活・経済状況は以下の通りです。

【収入について】
 アルバイト収入   12万円/月
 ○○大学奨学金    3万円/月
 預貯金(○○銀行) 100万円(私の父△△からの仕送り50万含む。)
 預貯金(□□銀行) 200万円(父△△名義)
 預貯金(□□銀行) 100万円(申請人名義)

【支出について】
 家賃      1.5万円/月(3人でルームシェアをしています。一人当たり1.5万円/月)
 光熱水道費   約0.5万円/月(3人で均等負担しています。)
 携帯代     約0.38万円/月(ネット回線のみ使用しています。)
 その他(食費、交際費、定期代、税、雑費など)  約3.5万円/月

 月々の支出合計: 約5.88万円

 以上の通り、毎日切り詰めて生活していますので、申請人である妻が来日しても、楽ではありませんが、十分に生活していけると考えております。今までも、そしてこれからも御庁よりご許可頂いた資格外活動許可の範囲内でアルバイトを継続する予定です。アルバイトに没頭し学業がおろそかになることもありません。また、万が一、経済的に困るような事態が生じれば、私の父が送金の準備をしてくれていますので安心しています。
                                        
 最後に、私は日本での残りの大学生活を愛する妻と共に過ごしたいと心より願っています。御庁におかれましては、私共の諸事情ご理解の上、申請人である妻○○ □□に在留資格「家族滞在」の在留資格認定証明書の交付のご許可を、何卒、よろしくお願い申し上げます。


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家族滞在ビザ申請のポイント


 それでは、家族ビザ取得のためのポイントをご紹介いたします。このポイントをしっかりと意識して理由書を作成できればと思います。

① 申請人を扶養する意思を示す。
 
 家族滞在ビザは、申請人本人が被扶養者になります。すでに日本に滞在している配偶者の方に養ってもらうわけです。したがって、ご自身のお子様などを呼び寄せたい場合には、お子様が来日したあと、保育園に通わせたい、小学校へ入れる準備をしてるなど、来日後の計画を示して、「日本に入国後は、こんな感じに世話(扶養)していきます。」とある程度説明する事が望まれます。
 尚、長い期間、日本と母国で離ればなれに生活していた配偶者やお子様を呼び寄せる場合には、「どうして今頃になって日本で一緒に暮らそうとしているのか?」という審査上の湧いてくるであろう疑問にも、ある程度の補足説明をしておくべきと考えます。

② 扶養する事ができるという金銭的・経済的裏付けを示す。

 申請者が来日後は、もちろんその方を扶養していかなければなりません。それには、当然ですが、お金が必要です。「扶養するための資金」が十二分にあることを示します。この事は、理由書にて申告するだけでは、不十分と考えます。つまり、私はお金があります、ということを、給与明細書、預金残高証明、その他金融資産、資金援助してくれる方の収入証明やその方との関係性、など提示しながら示すべきです。ただし、留学生は、アルバイト収入だけが頼りになりがちです。したがって、少ないアルバイト収入でも問題ないこと、援助してくれる親・兄弟がいること、預貯金があること、学校の奨学金があることなど、少しでも経済的にプラスになりそうなことは、理由書に記載しておく方がよいでしょう。もちろん、その事実を疎明する資料を添付しながらです。
 尚、一般的には、「今後1年間やっていくための経済力」が判断基準と言われています。

③ 「家族結合権」を主張する。

 「家族結合権」。簡単に言えば、「家族が一緒に同居、協力して生活する権利」ということでしょうか。「家族が一緒に生活する」ということは、当たり前すぎて、本来であれば、殊更理由書にて説明する必要はありません。家族が一緒に生活したいという事など説明不要です。しかし、家族ビザが欲しい当事者(扶養者と被扶養者)には、過去に不法滞在(オーバーステイ)、資格外活動許可違反(オーバーワーク)、その他違反などを犯してしまい、家族ビザの許可がおりない方々がいます。このような場合には、「家族が一緒に生活する」ということは当たり前、にもかかわらず、日本においては一緒に生活することが叶いません。このような場合には、「家族結合権」を前面に出した理由書を作成することがよいと思います。ただし、この権利は微妙なので、上述のような違反があると、ほとんど考慮されず、現状、家族ビザはほとんど許可されないと考えてよいです。しかし、それでも主張します。これは私見ですが、この「家族結合権」が過去に違反をしてしまった人たちの突破口となりえると考えています。もちろん、過去の違反内容をしっかりと反省し、処分を受け、改善することは言うまでもありません。


 以上、三つの事を念頭に置きながら理由書を作成すればよいと思います(ただし、家族滞在ビザに理由書は必須ではありませんので、基本的には提出不要です。)。ご参考になれば幸いです。