理由書等の作成

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このページでは、最もご相談の多い「入管提出用の理由書の書き方」の概要を説明しています。より詳しい解説は各理由書作成のページをご覧ください。


 ■理由書作成の重要性

 
 在留資格を変更する際には、戸籍謄本、住民票、所得証明書、納税証明書、結婚証明書などの公的書類から、スナップ写真、送金記録、預金通帳などの私的書類まで、様々な書類を提出しますが、その中の一つとして「理由書」があります。

 この理由書によって、1枚1枚提出した書類では伝わらない申請人側の状況を補足説明し、入管の審査官に伝えることになります。また、必須提出書類が用意できないような場合も、入管から提出できない理由を述べた書面として要求されます。

 したがって、その「伝え方」によっては、申請が有利になったり、不利になったりするので理由書はとても大切なものになります。要点を押さえた理由書の作成が肝要です。
 特に、過去に退去強制にあった事がある、何度も離婚している、一度不許可になっているなどの難しい案件になればなるほど、理由書の重要性は増していきます。

 基本的に、入管は申請人の状況を、日本人の配偶者であれば戸籍謄本や婚姻証明書、出生証明書、納税証明書など、就労ビザであれば、雇用契約書や会社の謄本などの「証拠書類」でもって確認します。その一つ一つのバラバラに提出された証拠書類をまとめ、補足し、ストーリーをもたせるのが「理由書」の役割であり作成理由なのです。

                               


理由書は書かなければいけないのか?

  
 「必要書類に理由書なんて求められてないのですが、提出しなければいけませんか?」このご質問もよくある質問の一つです。確かに、永住許可申請の場合の「永住理由書」や外国人の子どもを呼び寄せる際の「扶養を必要とする理由書」などの一部の申請の理由書を除いては、入管のホームページに示されている必要書類として理由書は求められていません。

 
 
必要書類として求められていないのに理由書を提出した方がよいかどうかは、やはりこれも各申請人の状況によって異なってきますので一概には答えられません。しかし、海外に住む申請人を呼び寄せる時、在留資格の変更の時、在留期間の更新の際でも、ほとんどの場合で理由書を作成し提出しているのが現状です。
 

 例えば、留学生を採用した場合に雇用先企業が書く採用理由書などは、必要書類として求められていませんが、必ずと言っていいほど提出しています。採用に至った経緯、なぜ採用したのか、どのような業務を任せるつもりなのか、などといったことを記載します。また、在留資格の更新の際には、基本的(単純更新の場合)には、理由書の提出は不要ですが、期間中に転職をした、日本人と結婚したが在留資格を変更しなかった等、身辺事情に何らかの変更が生じた場合には、必ずと言っていいほど理由書を作成し、当該事情を説明します。 申請人側のこれらの詳しい状況を入管審査官に伝えるのは、入管ホームページに掲載されている必要書類を提出するだけではほぼ不可能です。

 
申請人が、申請する在留資格に該当しているということを入管に証明する(立証責任)のは、申請人の責任です。入管審査官は、申請人によって提出された書面によって、許可不許可を判断します。

 たとえば、「日本人の配偶者等」で在留中の外国人妻が、期間更新申請をするときに、添付書類として住民票を提出したとします。その時、何らかの事情で日本人夫と住民票が別々であったとすると、「夫婦は同居し、協力して生活するもの(実態を伴う婚姻生活)」という配偶者ビザの一般的な要件を満たしていないと入管審査官は判断してしまうかもしれません。そうなればビザ更新不許可の可能性も出てきます。そうならないためにも、住民票が別々である事情(理由)を事情説明書(理由書)として作成し、入管審査官に合理的理由を説明する必要が生じます。

 申請人側の状況を入国管理局に勝手に解釈(誤解)されないためにも、理由書の提出は重要になっていきます。

                               

 ■理由書作成のポイント

 
 理由書の書き方は特に決まっていません。(住所、氏名などは必ず書きますが・・。)小説風に書いたり、箇条書きや時系列にしたりする方もいます。どんな書き方でも、ポイントを押さえていればよいと思います。しかし、書き方が決まっていないのをよいことに、出会いの経緯を仮装したり過去の在留状況で虚偽の報告をするのは絶対にやめましょう。取りかえしのつかないことになってしまします。

 理由書作成の目的は、一つには「入管審査官が申請人の状況を理解しやすくするため」です。したがって、取得したいビザ(在留資格)の種類によって違いますが、概ね、「申請人の過去の在留状況」、「請人の現在の状況」、「申請人の今後の展望」を嘘偽りなく、正しく記載すればよいのです。「入管の審査官が知りたい事」をもれなく記載するのです。間違っても「自分の言いたい事」ではありません。


 
たまに、文章がうまくまとまっておらず、いったいこの方は何を言いたいのだろう?と思う理由書を拝見することがあります。入管に提出する理由書なんて、人生で1回経験するかしないかですので仕方のないことだと思いますが、これだと、せっかく書いた理由書が対して読まれず、したがって審査に考慮されず、最悪、誤解を招くような事態になり、審査に悪影響を及ぼしかねません。悪影響を及ぼすくらいであれば、提出しない方がよいです。

                               

 ■入管審査官が知りたい事とは?

 では、入管審査官が知りたい事とは何でしょうか?

 
 それは、希望するビザの種類によっても各申請人の状況によっても異なるので、一概には言えません。申請人の過去の在留状況等も勘案しながら探って行くことになります。


 
しかし、入管法や入管規則、内部通達などによって「記載すべきある一定の基準」はありますので、とりあえずはその基準をもれなく理由書に記載します。例えば、「留学」から「技術・人文知識・国際業務」に変更する際には、「申請人の大学での就学状況や履修科目と職務内容との適合性」、「就職先の会社がどんな会社なのか」,「採用に至ったいきさつ」等を入管は知りたがっていますし、「日本人の配偶者等」への変更でしたら、「日本人のお相手と知り合った場所や紹介者の有無、交際方法などの結婚の経緯」、「日本人のお相手の職業など収入面」、「初婚でなければ、前婚が離婚に至った状況」など、「経営・管理ビザ」であれば、その事業の内容、決算、継続性、収益体制、安定性、取引先、経営の展望そしてそれらの根拠などを整理して分かりやすく記載する必要があります。

 なぜ、上記のようなかなりプライベートに突っ込んだ申請人の細かい状況を入管が知りたいのか、または知る必要があるのかといえば、一つは、ビザ取得のためだけの偽装結婚や形だけ雇ったように見せかける偽装就職、または経営・管理ビザ取得のためだけのペーパーカンパニーを排除もしくは発見するためであると考えられます。こういった偽装案件の特徴として、ビザ申請に関わる当事者が少ない(申請人と偽装案件を仲介するブローカーだけ)ということが挙げられます。外国人が日本のビザを申請する場合、通常、ビザ申請に至るまでの「経緯(ストーリー)」が存在します。その「経緯」には、親、兄弟姉妹、子ども、親戚、友人知人、会社の上司、学校の先生、会社の取引先などが関わってくるのが通常です。しかし、偽装案件での当事者は、大概申請人側とブローカーだけとなり、ビザ申請に至るまでの関係人及び証拠資料が少なくなる傾向にあります。こういった場合、もちろん本当のビザ申請理由(ビザ取得のためだけの偽装)を申告できませんので、ビザ申請に至った理由を色々と仮装して申請することになります。しかし、仮装した理由には、たいていどこか不自然な、矛盾した箇所が見受けられることがあります。その不自然な部分、矛盾した箇所を入国管理局の審査官は見つけようとしています。仮に、その時は偽装が発覚せず許可が下りたとしても、入管の審査は、その後のビザ更新や変更などでも行われます。仮装した理由というものは忘れやすく、3年後、5年後のビザ更新、変更の際に、よくよく矛盾点として現れてくるものです。そして、入管としては、その現れた矛盾点を指摘して不許可にしてしまえばよいのです。

 入管審査官が知りたい事は、もちろん様々あり、上記だけではありません。しかし、ビザ申請に至った経緯というものを知りたがっていることは確かですので、要点を押さえ、できるだけ詳細にビザ申請に至った経緯を記載し提出することが望まれます。

                               

理由書のページ数について

 

 「理由書は何枚くらい書けばよいですか?」。この質問もよくある質問の内の一つです。基本的には、ご本人様の状況や理由書の種類によりけりですので、何枚になるのかはこれまでの経歴などお話しを伺ってからでないと分かりません。
 
 配偶者ビザの質問書には、「結婚の経緯」について書かされる欄が20行ほど設けられていますが、正直これでは足りないことがほとんどです。たまに、「○○年○月に出会って、どこどこに旅行して、○○年○月に結婚式をして、○月婚姻届けを出しました。」というように、5~6行ととても短く、結果報告のように記載されている方がいますが、絶対にやめて欲しいと思います。
 なぜ結婚の経緯を記載しなければならないのか?それは、「この結婚が本物の結婚であり、嘘ではありません。ビザ取得のためだけの偽装結婚ではありません。」ということを証明するためです。したがって、5~6行程度の「結婚報告」では、当然に偽装結婚の疑いは晴れず、かえって疑いは深くなるだけです。本物の結婚であれば、それには5~6行では収まりきらない当事者たちのストーリーがあ るはずです。

 かといって、申請人の今までの経歴や、日本に滞在経験があれば過去の日本での在留状況などに特別問題がなければ、あまりズラズラ延々と申請人の状況を書いても、文章が読みにくくなったりして入管審査官をイタズラに困惑させてしまうだけなので、理由書のページ数もA4で3~4ページ程度で簡潔にまとめるのが良いと思います。もちろん、理由書に記載した内容をしっかりと証明できる証拠書類を揃えていることが前提です。

 しかし、「過去の在留状況が悪い(各種義務違反・法令違反、不法滞在、退去強制など)」「婚姻の真正性を入管に疑われる可能性がある」「提出できる証拠資料、疎明資料が少ない」場合には、理由書・結婚経緯書が長くなる傾向にあります。申請人側のより多くの情報を入管に供述し、提出することによって、上記の不利を補う必要があるからです。また、それら情報は、入管側にとっても供述証拠となり、申請内容の真偽を判断するための担保となりえます。

                               

理由書と同じくらい大切な証拠書類

 
 
 申請人の在留資格該当性を疎明する資料として理由書はとても大切です。しかし、それと同じくらい、いや、それ以上に重要なものがあります。それは、理由書に記載した内容を証明する証拠資料です。
 
 収入を証明したければ所得課税証明書や納税証明書、会社発行の源泉徴収票など、預貯金等資産を証明するのであれば、残高証明書や固定資産評価証明書など、親が認知症で介護が必要であれば医師の診断書などです。

 私としては、このことは当たり前すぎて言うまでもないと思っているのですが、お客様の中には、意外に分かってはいるもののそのようにうまく行動できていない方が見受けられます。上記の証拠書類は分かりやすい例示で、お客様もイメージが湧きやすいようです。そして、これを基本として、理由書記載の事実を、さらにより細かく証拠(疎明)資料でもって補完していくのです。

 例えば、お互いの旅行好きが共通点となり国際結婚に至ったのならば、旅行先の滞在ホテルの領収証や旅行先でのお二人の写真など。結婚指輪を購入しているならその領収証。子どもを日常的に扶養・監護している事実であれば、通学証明書や児童扶養手当通知書、子供との写真など。新規事業が絵空事ではなく事実であると証明したいのであれば、取引先との新規事業に関する契約書や見積書、事業計画書など。申請人の在留を関係人みんなが望んでいるのなら、それら関係人の思いの詰まった嘆願書や署名など、です。

 いくら理由書に「お互い旅行が好きで、国際結婚に至りました。」と記載したところで、旅行先での二人の写真などの証拠書類(疎明書類)が全くなければ、入国管理局としても「本当かな?」と疑問を持つのは当然です。何を根拠に申請人の理由書(つまりは自己申告)を信頼してよいのか分からないのです。

 以前、入国管理局の職員が、「海外に住む外国人妻に頻繁に会いに渡航していれば、理由書なんて大して読まずに許可だしちゃいますよ。会いに行く、ということは文字通り会いに行くということで、疑いようがありませんから。」と言っていました。もちろん、理由書を全く読まず許可を出すなんてことはあり得ないでしょうが、何よりも証拠が重要である、ということをおっしゃりたかったのだと推察できます。

 したがって、証拠書類が提出できないような事を、いくらたくさんズラズラと理由書に記載したところで、入管にしてみれば参考程度くらいの認識かもしれません。

 また、証拠書類は、当然ですが公的機関発行のものが一番証拠力があり、民間発行の書類は概して証拠力は低くなります
収入証明であれば、所得課税証明書が一番よく、民間会社発行の源泉徴収票や給与明細書は証拠力が弱くなる傾向にありますこのあたりにも留意が必要です。

 理由書の記載の一言一句に神経をすり減らし、表現方法をあーでもないこーでもないと試行錯誤して言葉を飾ってみる事ももちろん大切なことではありますが、やはり、一番重要なのは「入管職員が疑う余地を挟めないような証拠書類の提出」ではないかと思います。

 日本でビザ(在留資格)の取得を考えるのであれば、証拠となりそうな書類を、申請に備え残しておくように留意することが一番重要であるかと思います。