日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上であることの説明書

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日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上であることの説明書

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 技術・人文知識・国際業務などのビザで、外国人の方を採用し、認定申請や変更申請をすると、たまに入管より追加要求される資料である「日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上であることの説明書」。
 この書類は、技術・人文知識・国際業務ビザでは、必須提出書類ではありませんので、初めの申請の際には提出不要です。入管より追加資料として請求された場合のみ提出します。
 新しく採用した外国人の方の給与が、同じ職務・職責である日本人従業員と全くの同額であれば、何も問題はありませんが、実際は、少し給与に差(低く)を設けていることが多いと考えられます。その際には、「給与に差を設ける合理的な理由」が必要と考えます(ただし、少しの差なら大した問題ではないかもしれませんが、大きく差が生じていると、どのような合理的理由も考慮されないと考えます)。

 以下は、記載例です。ご参考にして頂ければ幸いです。尚、「給料に差をつける合理的理由」は、御社の状況によって様々であると考えられます。記載例はあくまで例です。「弊社の状況によって申請人給料がこのように決定された」というプロセスを事実通り申告するようにしていただきたく思います。
 
【記載例】


                                 令和○年○月△日

法務大臣 殿

                            株式会社○○
                            代表取締役 ○○ □□ ㊞

            申請人の報酬に関する説明書

申請番号(名労一認N○○-○○○○○○)
申請人氏名  :
   国籍  :
   生年月日:

              申請人の報酬に関する説明書

                     
 御庁より頂きました20○○年△月×日付の資料提出通知書の「□」について、現在、弊社ハローワーク掲載募集要項にありますとおり、日本人・大卒者は、月給20万円にて募集しております。この度の申請人は、月給19.4万円となっております。
 随時、ハローワークを通じて求人募集を行っておりますが、直近に日本人の大卒者の日本人・正社員の採用がございませんので、単純に申請人と比較する事が叶いません。
 
 弊社基本給(月給)は、本人の「学歴・職歴、経験、人物、就業意欲、会社財務状況など」総合的に考慮した上で決定されます。申請人来日当初と日本人・大卒者とで、その職務遂行能力を比較考慮した場合、若干の能力の不足(主に日本語能力に起因)が懸念されます。従業員の職務遂行能力の不足は、基本給(月給)の決定に重要な要素となり、したがって、日本人・大卒者と同様の業務に従事する予定ではありますが、その基本給(月給)に若干の差が生じております。基本給(月給)以外の諸条件は、申請人も日本人・大卒者も同等です。

 尚、来日すぐの申請人と同様の業務であると思われる他社のハローワーク掲載求人を添付致しました。それら他社の募集要項を確認した結果、本件申請人の給与は、現在の申請人諸条件及び業界並びに弊社状況を考慮して妥当であると考えております。

 申請人の来日後は、弊社が全責任を持って、住居の斡旋等日本での生活及び日本国法令の遵守を指導・監督し、弊社の発展の一助となれるよう全面的に支援していく所存です。

 以上の次第であり、この度の申請人である○○ □□氏に在留資格「技術・人文知識・国際業務」の認定証明書交付の一日でも早いご許可を、何卒、宜しくお願い申し上げます。



                                  
 それでは、説明書作成のポイントをご紹介いたします。以下の流れにそって説明書作成していけば、入管審査官の方が審査する上で知りたい情報を概ね提供できるのではないでしょうか。

【A:比較対象となる日本人従業員がいる場合】

 ① 申請人予定職務内容と職責、年齢と経験
 ② 申請人と同等の職務内容と職責を担う日本人従業員の年齢、経験
 ③ 申請人の給与
 ④ 申請人と同等の職務内容と職責を担う日本人従業員の給与
 ➄ 給与が同等であると考える御社の理由及び根拠

 現在、御社に申請人と同等の職務内容と職責を担う日本人従業員が存在していれば、上記①から④を、職務内容の詳細説明書やその日本人従業員の給与明細書、賃金規定などを疎明資料として添付し、比較すればよいです。そして、➄の理由は、全く同等であれば、説明不要と考えます(全く同等であることは、提出した上記添付資料から自明です。)。

【B:比較対象となる日本人従業員がいない場合】
 ① 申請人予定職務内容と職責、年齢と経験
 ② 申請人の給与
 ③ 申請人と同等の職務内容と職責を担うと考えれらる同業他社の求人職務情報
 ④ 申請人と同等の職務内容と職責を担うと考えれらる同業他社の求人給与情報
 ➄ 給与が同等であると考える御社の理由及び根拠

 現在、御社に申請人と同等の職務内容と職責を担う日本人従業員がいなければ、また、その条件に合致する賃金規定などが存在しなければ、同業他社の求人情報で比較します。この場合は、全く同等であることはほとんど無いと考えられますので、「同等であると考える理由」を➄にて説得的に記載します。

 Aの場合でもBの場合でも待遇や給与に差がなく、むしろ好待遇であれば何も問題は無いと思いますが、少し待遇が悪いのであれば、「待遇に差が生じる合理的理由」をしっかりと説得的に説明するべきです。「合理的理由による待遇の差」は、入管審査官も許容していると考えています。だって、来日すぐに日本語能力などでかならず問題、手間暇かかるのに、日本人大卒者といきなり同等の給与あげたら、逆に採用外国人の方を能力に関わらず不当に優遇する結果になってしまって、日本人従業員の方も面白くないでしょうから(※かなり個人的見解です。)。