事業計画書

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入管提出用事業計画書


 新規設立会社にて経営管理ビザを取得するためには、「事業計画書」の作成が必須となります。また、設立して1年未満の会社様が新たに外国人を採用して技術・人文知識・国際業務などのビザを得ようとする場合も、「採用された外国人の方がどのような会社で働くのか?」を審査するために、入管へ提出が必須であるのが「事業計画書」です。

 ここで要求されている事業計画書は、よく融資のために銀行や投資家などに提示するのに耐えられるほどのレベルは要求されていません(もちろん、そのような事業計画書を作成しても構いません。)。このページでは、入管の審査に通るために必要最低限の事業計画書の作成例をご紹介いたします。ご参考になれば幸いです。
 尚、弊所では、事業計画書の作成のみのご依頼は受任致しかねます。大変ご不便、ご迷惑おかけしますが、何卒、ご理解のほど宜しくお願い申し上げます。



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入管提出用事業計画書の作成ポイント


 以下の項目に関する事項を詳細に記載すれば良いと思います。これから日本においてビジネスを行っていこうと考えている社長様にとっては、答えやすいし、すでに頭の中である程度ビジョンをお持ちではないかと思える項目ばかりです。実際、社長様にヒアリングをすると、これでもかと言わんばかりに日本でこれからやっていこうと考えているビジネスプランが出てきます。逆に、「日本で在留し続けるためにはもう経営管理ビザしかない。」という方の場合は、まったくビジネスプランがありませんので、丁重にお断りすることができます(経営管理ビザは、ご承知の通り、学歴、職歴要件がなく、お金さえ工面できれば申請できてしまいます。)。


1.会社概要
 
・会社名
 ・所在地
 ・電話番号・FAX番号
 ・設立年月日
 ・資本金
 ・従業員
 ・事業内容
 ・取扱製品
 ・主要取引先
 ・収益体制

2.事業計画
 
・会社の強み
 ・会社運営の課題・問題点
 ・会社運営の課題・問題点の解決策
 ・今後の事業戦略
 ・収支計画(今後1年分で十分です。黒字にします。)
 ・収支計画の計算根拠




入管提出用事業計画書の作成ポイント

 それでは、事業計画書の作成例です。自身の会社や業界動向、諸経費など、詳細に分析して記載することに越したことはありません。入手できる客観的資料をなるべく多く集め、できる限り詳細に作成してみましょう。もちろん、詳細分析には時間も費用も掛かるので、会社の現状でやれる範囲になるかと思います。できれば、作成した事業計画書を税理士や中小企業診断士などに確認チェックしていただいて、事業計画書の妥当性を評価してもらえれば最高です。

 以下の作成例は、中古品の貿易会社の例です。記載内容は架空です。サンプルですので細かい部分は省略して記載しています。実際どのような内容になるのかは、会社様によって全く異なりますので、参考程度にしていただきたく思います。

【作成例】


                                 令和○年○月△日

                 事 業 計 画 書
           (期間:2020年1月1日~2020年12月31日)

                    
1.会社概要
 (1)会社概要
 会社名     ○○貿易株式会社
 所在地     愛知県一宮市△△1-1-1
 TEL/FAX    0586-○○-□□△△
 設立年月日   令和1年○○月○○○日
 資本金     □00万
 従業員     代表取締役 1名 正社員1名 
 主要取引先   (国内取引先)㈱△△商事、□□㈱、○○商事、(有)□□など
         (海外取引先)□□□□CO.,LTD  △△△△CO.,LTD

 (2)事業内容
 日本全国の大型販売店や個人から、使用済みの中古家電等を買い取り、海外(主に東南アジ ア諸国)に輸出販売する。日本国内において商品の買い取り、検品、保管、出荷準備、コ  ンテナ手配などを行い、海外企業と提携し商品の受け取り、検品、納品等を行う。現地海外 企業に対して日本企業の情報提供を行い、また、現地海外情報(需要、購買層、価格、売  れ筋を日本企業に提供する。
 
 (3)取り扱い商品
 エアコン、プリンタ、冷蔵庫などの使用済み家電製品
 中古バイク、自転車、農機具など

 (4)収益体制
 ・海外小売企業との価格交渉を弊社代表が行う。
 ・日本国内の仕入れは、現地企業情報をもとに弊社代表が行う。
 ・販売価格(予定)1コンテナ当たりの費用に〇〇万~○○万円上乗せして販売予定
 ・海外販売価格(予定)1コンテナ当たり○○○万円(□□向け)
            1コンテナ当たり○○○万円(△△向け)
            1コンテナ当たり○○○万円(××向け)
 ・国内販売価格(予定)仕入価格に+○○○○円上乗せして販売予定

2.今後の事業計画(2020年1月1日~2020年12月31日)
 (1)弊社経営の課題
 (課題1)主力製品である○○は季節的変動が激しく、売り上げが安定しない。
 (課題2)中古家電は薄利多売になる傾向がある。
 (課題3)新規参入のため、初期費用がかさむ。
 (課題4)中古家電貿易のノウハウは代表頼りであり、代表不在時の業務が滞る。
 (2)今後の経営方針
  課題に対応した会社経営を目指す。
 ・主力商品の需要閑散期を埋める商品の発掘
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3.収支計画
 (1)収支計画(期間:2020年〇月〇日~□月□日)

項目  金額  対売上比 
①売上高  100,000,000  100.00
②売上原価     
③売上総利益(①ー②)    
④役員報酬     
➄給料手当    
⑥法定福利費     
⑦福利厚生費     
⑧交際費     
⑨旅費交通費     
⑩通信費     
⑪消耗品費     
⑫水道光熱費     
⑬車両関係費     
⑭地代家賃     
⑮保険料     
⑯租税公課     
⑰雑費     
⑱販売管理費(④~⑰合計     
⑲営業利益(③ー⑱)     
⑳営業外収益   0  
㉑営業外費用   0  
㉒経常利益(⑲+⑳-㉑)     
㉓特別利益   0  
㉔特別損益   0  
㉕税引前利益(㉒+㉓-㉔)     
㉖法人税等(※○○%で計算)     
㉗税引後利益(㉕-㉖)     

(2)計算根拠
 売上高  ○○○万円/コンテナ1本 × 〇〇本/年 = ○○○〇万円/年
 売上原価 仕入費用○○○万円/本 + 輸出手続き費用○〇万円/本 = 売上原価
      仕入費用○○○万円/本 × ○○本/年 = ○○○○万円/年
      輸出費用○○万円/本  × ○○本/年 =  ○○〇万円/年
                    売上原価合計 ○○○○万円/年
 役員報酬  ○○万円/月 × 12 = ○○○万円/年
 給料手当  正社員1名 ○〇万円/月 × 12 = ○○○万円/年
       パート1名 〇〇万円/月 × 6 = 〇○〇万円/年
 法定福利費 代表1名  ○万円/月 × 12 = 〇○万円/年
       正社員1名 ○万円/月 × 12 = 〇○万円/年
       パート1名 ○万円/月 × 6 = 〇○万円/年
 旅費交通費 ○万円/月 × 12 = 〇○万円/年
 通信費   ○万円/月 × 12 = 〇○万円/年
 水道光熱費 ○万円/月 × 12 = 〇○万円/年
 地代家賃  ○万円/月 × 12 = 〇○万円/年
 交際費   ○万円/月 × 12 = 〇○万円/年
 消耗品費  〇○万円/月 × 12 = 〇〇○万円/年
 車両関係費            〇○万円/年
 保険料   ○万円/月 × 12 = 〇○万円/年
 租税公課  ○万円/月 × 12 = 〇○万円/年
 雑費    〇○万円/月 × 12 = 〇〇○万円/年

(3)計算根拠に関する補足
 売上高:
 売上原価:
 給与手当:○月にパート1名採用予定
 消耗品費:初年度につき、業務用工具、必要事務品など揃えるため多めに計上
 車両関係費:□月に車両(□□□□ ○○式)の車検あり
 


 事業計画は、当然ですが、考慮できる事項はすべて考慮して作成しましょう。売上予測、需要予測、市場状況、会社の強み弱み、会社資金、人材、特に、費用などの数字は、あらゆる事態を想定して計上したいところです。基本は、「売り上げは甘く、費用は厳しく」です。そして必ず「黒字」にします。
 業界の平均的な利益率は、総務省や経済産業省、その他関係機関HPなどで調べる事が出来ますので、その値を参考にして、最終的な利益を設定してみても良いと思います。
 いずれにしても、「実現性のない事業計画(売上根拠が不明、費用見積もりが甘すぎるなど)」にならないように注意していただきたく思います。